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大きな現場の注文書が届いた。ところが鉄筋やボードの仕入れ代と、来月からの職人の人工代が先に出ていく。
着工前に材料をまとめて買う、人工代は毎月払う、元請けからの入金は出来高を締めた翌月以降になるなど、注文書をもらってから最初の入金までのすき間は、協力会社がつまずきやすいところです。
注文書の支払条件を読み直すと、借りずに埋められる手が見つかることがあります。
結論
- 注文書の段階では、まだ請求ができない。最初の入金は、出来高を締めて請求したあとになる。
- 先に注文書の支払条件を見る。前金払・出来高払い(部分払)・保留の割合が書かれていれば、入金の見通しが立つ。
- 公共工事なら、元請けは保証事業会社の保証を受けて前払金(通常4割)を受け取れる。建設業法は、元請けが前払金を受けたら下請けに着手の費用を前払いするよう配慮を求めている。
- 元請け・仕入れ先・日本政策金融公庫への相談で足りないとき、請求書を出せる段階になってから、請求書の買取(アクセルファクター・日本資金支援センター)を考える。
着工前の材料費が足りないとき
出来高の請求書を出したら、入金日より前に買い取ってもらう方法があります。借入ではありません。
事業の形と請求額を選ぶと、断られにくい買取先が分かります。
見積もりは無料。申し込んでも契約しなければ費用はかかりません。
注文書をもらってから最初の入金までに、材料費と人工代が先に出ていく
| 時期 | 起きること | お金 |
|---|---|---|
| 注文書を受け取る | 工事の内容・金額・支払条件が決まる | まだ入らない |
| 着工の前後 | 材料の仕入れ、職人の手配 | 材料費・人工代が出ていく |
| 最初の出来高の締め | 出来高を元請けに報告し、請求書を出す | まだ入らない |
| 支払日 | 注文書の支払条件どおりに入金 | ここで初めて入る |
注文書の段階では、まだ請求する代金が決まっていない
注文書は工事を頼まれた証拠だが、請求できるのは工事が進んだ分から。最初の入金は出来高を締めたあとになる。
| 書類 | 中身 | お金との関係 |
|---|---|---|
| 注文書(と注文請書) | 工事の内容・金額・工期・支払条件の約束 | 入金の時期と方法が分かる |
| 出来高の請求書 | 締め日までにできた分の金額 | これを出して初めて入金の対象になる |
| 支払通知 | 元請けが払う金額と日付の知らせ | 入金の直前に届く |
注文書が届くと、仕事が決まって一安心です。けれども注文書は、これから行う工事の約束で、その時点ではまだ代金の請求はできません。
元請けに請求できるのは、工事が進んでできた分(出来高)からです。最初の入金は、最初の出来高を締めて請求書を出し、支払日が来たときになります。
出来高の請求のしかたは、出来高請求の書き方に計算の例とあわせてまとめています。
ポイント
- 注文書は工事の約束で、まだ請求はできない。
- 請求できるのは工事が進んだ分から。
- 最初の入金は最初の出来高の支払日。
着工前に先に払うのは、材料費・人工代・機械や車両の費用
材料のまとめ買い、職人への毎月の支払い、リース代などは、元請けからの入金を待ってくれない。最初の入金までに必要な額を書き出す。
| 費目 | 支払う相手 | 支払う時期 |
|---|---|---|
| 材料費 | 材料屋・商社 | 仕入れ先の締め日と支払日による |
| 人工代 | 自社の職人・応援の職人 | 毎月(日払い・週払いのことも) |
| 外注費 | 二次下請けの会社 | 自社と結んだ支払条件による |
| 機械・車両・仮設の費用 | リース会社など | 月ごとの請求が多い |
着工前後に出ていくお金は、材料費だけではありません。職人に払う人工代や、二次下請けへの外注費、機械や車両のリース代も、元請けの入金より先に来ることが多い費用です。
まず、最初の入金日までに払うものを、相手と時期ごとに書き出します。足りない額と期間がはっきりすれば、どの手を使うかを選びやすくなります。
人工代は職人の生活に直結するので、遅らせる相談は向きません。遅らせる相談をするなら、材料屋やリース会社のように、取引先として締め日を持つ相手からにします。
ポイント
- 人工代・外注費・リース代も先に出る。
- 入金日までに払うものを書き出す。
- 人工代は遅らせる相談に向かない。
注文書の支払条件で、前金払・出来高払い・保留の割合を確かめる
| 見る項目 | 分かること |
|---|---|
| 前金払の定め | 着工前に代金の一部が払われるか |
| 出来高払い(部分払)の定め | 毎月の締めで、できた分が払われるか |
| 部分払の率・保留 | 出来高のうち、いくらが毎月入り、いくらが完成まで残るか |
| 締め日と支払日 | 最初の入金がいつになるか |
建設業法は、前金払や出来高払いの時期と方法を契約に書くよう求めている
請負契約には、前金払や出来形部分への支払いの定めをするなら、その時期と方法を書く。注文書と注文請書、約款で確かめる。
| 事項 | 中身 |
|---|---|
| 工事着手の時期と完成の時期 | いつ始めて、いつ終えるか |
| 請負代金の額 | 工事の代金 |
| 前金払・出来形部分に対する支払 | 定めをするなら、その支払の時期と方法 |
国土交通省の建設業法令遵守ガイドライン(第8版)では、建設業法第19条で請負契約に書く事項として、請負代金の全部か一部の前金払や、出来形部分に対する支払の定めをするときは、その時期と方法をあげています。
前金払や出来高払いがあるかは、注文書の表だけでなく、裏面や添付の約款に書かれていることがあります。支払条件の欄と約款をあわせて読むと、最初の入金の時期が分かります。
書かれていない、意味が分からないときは、着工前に元請けの担当者に聞いておきます。始まってからでは、条件を変えにくくなります。
ポイント
- 前金払・出来高払いの時期と方法は契約に書く。
- 支払条件の欄と約款をあわせて読む。
- 分からなければ着工前に聞く。
出来高払いでも、毎月入るのは出来高の9割などのことがある
部分払の率が9割なら、残りの1割は完成まで保留される。毎月の入金額は、出来高に部分払の率を掛けた額になる。
| 会社 | 決まり |
|---|---|
| 錢高組 | 保留率は100%から注文書の支払条件欄の部分払率を引いた率(部分払90%なら保留10%) |
| 長谷工コーポレーション | 外注契約100万円以上・労務契約200万円以上は支払率90%(出来高100%のときは100%) |
| 奥村組 | 2026年9月請求分から保留金を廃止 |
| 鹿島建設(CI-NET) | 出来高承認締切日と請求書締日を月ごとに公開 |
出来高払いがあっても、出来高の全額が毎月入るとは限りません。錢高組の請求書の記載マニュアルでは、保留率を、100%から注文書の支払条件欄にある部分払率を引いた率としています。部分払が90%なら、出来高の10%は完成まで残ります。
長谷工コーポレーションの出来高請求書にも、外注契約は100万円以上、労務契約は200万円以上で支払率90%という注記があります。一方、奥村組は支払条件の見直しで保留金を廃止しました。
保留がある工事では、毎月の入金が出来高より少なくなり、材料費の立て替えが長引きます。鹿島建設のように、CI-NETの出来高と請求の締切を月ごとに公開している会社もあるので、最初の締めに間に合わせます。
ポイント
- 部分払の率で毎月の入金が決まる。
- 保留は完成まで残る。
- 最初の出来高の締めに間に合わせる。
公共工事の注文書なら、元請けが受け取る前払金を確かめる
| 項目 | 前払金 | 中間前払金 |
|---|---|---|
| 割合 | 工事代金の一部(通常は4割) | 工事代金の2割 |
| 受け取る人 | 発注者から工事を請け負った会社(元請け) | 同じ |
| 必要なもの | 保証事業会社の前払金保証 | 中間前払金保証 |
| 主な要件 | 発注者が前金払をする工事 | 工期の2分の1経過・出来高が請負金額の2分の1以上など |
前払金は、保証事業会社の保証があれば元請けに支払われる
国や自治体などは工事代金の一部(通常4割)を前払いする。受け取るには保証事業会社の前払金保証が要り、使い道は監査される。
| 段階 | 中身 |
|---|---|
| 保証の契約 | 元請けが保証事業会社と前払金保証の契約を結ぶ |
| 前払金の入金 | 発注者から前払金が振り込まれる |
| 使い道の確認 | 前払金使途内訳明細書と支払先が分かる書類を出す |
| 払出し | 確認のあと、金融機関から下請企業などへの支払いに払い出す |
公共工事の多くには、着工前に代金の一部を受け取れる前払金の制度があります。保証事業会社の東日本建設業保証は、前払金保証制度の案内で、国や地方公共団体などが工事代金の一部(通常は4割)を前払いする制度を整えているとしています。
前払金を受け取るには、保証事業会社の前払金保証が要ります。前払金払出手続きの流れでは、使途内訳明細書と支払先が分かる書類を出して確認を受け、そのあとに下請企業などへの支払いに払い出す流れが示されています。
前払金の対象は国や自治体だけではありません。前払金保証の対象のページには、公社、社会福祉法人や学校法人など補助金を受けた団体の工事もあげられています。発注者がどこかは、元請けの注文書の工事名や現場で確かめます。
ポイント
- 前払金は通常4割で、保証事業会社の保証が要る。
- 払出しは使い道の確認のあと。
- 下請けへの支払いにも使われる。
元請けが前払金を受けたら、下請けへの前払いを相談できる
建設業法は、元請けが前払金を受けたとき、下請けに資材の購入や労働者の募集など着手の費用を前払いするよう配慮を求めている。
| 決まり・制度 | 中身 |
|---|---|
| 建設業法 第24条の3第3項 | 元請けは前払金を受けたら、下請けに着手に必要な費用を前払金として払うよう適切に配慮 |
| 中間前払金 | 工期の半分を過ぎ、出来高が半分以上などの要件で、工事代金の2割を追加で前払い |
| 民間工事 | 前払金制度か部分払制度を使い、迅速かつ適正に払うことが望ましい(ガイドライン) |
国土交通省の建設業法令遵守ガイドラインに載る建設業法第24条の3第3項では、元請けは前払金を受けたら、下請けに対して、資材の購入、労働者の募集その他建設工事の着手に必要な費用を前払金として払うよう、適切な配慮をしなければならないとしています。
つまり公共工事の注文書なら、元請けが前払金を受け取ったかどうかが、前払いを相談する手がかりになります。配慮の決まりで、必ず払われるわけではありません。
工期の長い工事では、中間前払金保証制度の案内のとおり、工期の2分の1を過ぎ、出来高が請負金額の2分の1以上などの要件で、工事代金の2割を追加で前払いする中間前払金もあります。発注者によっては契約のときに中間前払か部分払かを選ぶので、元請けに聞いておきます。
ポイント
- 元請けは前払金を受けたら下請けへの前払いに配慮する。
- 必ず払われるわけではない。
- 中間前払金は工事代金の2割。
注文書をもらったら、着工前に元請けへ前渡し・早めの支払いを相談する
| 用意するもの | 理由 |
|---|---|
| 注文書と注文請書 | 支払条件の欄と約款を一緒に見ながら話せる |
| 最初の入金日までの支払いの一覧 | 足りない額と期間を具体的に示せる |
| 材料の発注の予定 | いつ、いくら必要かが伝わる |
| 公共工事なら発注者の名前 | 前払金を受け取る工事か確かめられる |
前払い比率と期中払い比率を高めることは、国の指針でも求められている
国土交通省のガイドラインは、振興基準を踏まえ、前払い比率と期中払い比率をできるだけ高めるよう努めることにふれている。相談は筋の通った話になる。
| 考え方 | 中身 |
|---|---|
| 振興基準 | 見積りから納品までが長い取引では、前払い比率と期中払い比率をできる限り高めるよう努める |
| 発注者からの支払い | 前払金制度か部分払制度(出来高払制度)を使い、迅速かつ適正に払うことが望ましい |
| 下請けへの前払い | 元請けが前払金を受けたら、着手の費用を前払いするよう配慮 |
国土交通省のガイドラインは、建設のように見積りから納品までが長い取引について、振興基準で前払い比率と期中払い比率をできる限り高めるよう努めるとされていることにふれています。そのうえで、発注者からの支払いにも前払金制度や部分払制度を使うことが望ましいとしています。
着工前の材料費を元請けに相談するのは、無理なお願いではありません。大きな材料を先に仕入れる工事ほど、前渡しや初回の出来高を早める話がしやすくなります。
注文書を受け取ってから条件を変えるのは難しいことがあります。注文請書を返す前、遅くとも着工前に相談します。
ポイント
- 前払い比率・期中払い比率を高めることは国の指針にある。
- 大きな材料を先に買う工事ほど話しやすい。
- 注文請書を返す前に相談する。
相談では、金額と日付を数字で伝える
「お金が足りない」ではなく、「いつ、何に、いくら」を伝える。元請けも社内で判断しやすくなる。
| 伝えること | 例 |
|---|---|
| 先に出ていく費用 | 鉄筋・型枠材の仕入れ ◯◯万円(◯月◯日払い) |
| 最初の入金の予定 | ◯月締めの出来高 ◯月◯日入金 |
| お願いしたいこと | 材料費相当の前渡し、または初回の締めの前倒し |
相談の場では、困っている気持ちより、数字が役に立ちます。何の材料をいつ仕入れて、いくら払うのか、最初の入金はいつの予定かを、一覧にして見せます。
前渡しが難しいと言われても、材料を元請けの支給にする、初回の出来高の締めを早めるなど、別の形で負担が軽くなることがあります。
元請けの担当者に相談するときの文面(例)
◯◯工事の注文書をありがとうございます。
着工前に、鉄筋と型枠材の仕入れ(約◯◯万円・◯月◯日払い)が先に出る予定です。
最初の出来高の入金は◯月◯日の見込みです。材料費に当たる分の前渡しか、初回の締めを早めていただくことはできますか。
発注者から前払金が出る工事であれば、その扱いもあわせて教えてください。
ポイント
- 「いつ・何に・いくら」を数字で伝える。
- 材料の支給や初回の締めの前倒しも頼める。
- 前払金の扱いもあわせて聞く。
注文書の工事の材料費は、仕入れ先の締め日と支払日の組み方で間に合わせる
| 組み方 | 材料屋への支払日 | 元請けの入金日 | すき間 |
|---|---|---|---|
| そのまま | 月末締め 翌月末払い | 出来高の月末締め 翌々月10日 | 約10日の立て替え |
| 支払日を延ばしてもらう | 月末締め 翌々月15日払い | 出来高の月末締め 翌々月10日 | 立て替えなし(目安) |
| 仕入れを分ける | 必要な分を月ごとに仕入れる | 同じ | 1回の支払いが小さくなる |
材料屋には、元請けの入金日のあとに払う約束を相談する
材料屋の支払日を、元請けの入金日の数日後に合わせられれば、立て替えが要らない。新しい現場の初回だけでも相談する価値がある。
| 伝えること | ねらい |
|---|---|
| 元請けの名前と注文書の金額 | 代金が入る見込みがあると分かる |
| 最初の入金日 | 支払日をいつにすればよいかが決まる |
| 今回だけか、工期中ずっとか | 材料屋も資金繰りを組みやすい |
手数料も利息もかからないのが、仕入れ先への相談です。元請けの入金日が分かっていれば、材料屋への支払日をその数日後にしてもらえないかを相談します。
材料屋にとっても、注文書という裏付けがあれば話を聞きやすくなります。元請けの名前と注文書の金額、最初の入金日をそろえて伝えると、待ってもらえる見込みが上がります。
材料屋にも自分の支払いがあるので、何度も延ばすと次の取引に響きます。延ばすのは新しい現場の最初の月だけにする、などの線を自分で決めておきます。
ポイント
- 材料屋の支払日を元請けの入金日のあとにする。
- 注文書の金額と入金日をそろえて伝える。
- 延ばすのは最初の月だけなど線を引く。
材料を一度に買わず、工程に合わせて分けて仕入れる
着工前に全部の材料を買うと、最初の入金までの立て替えが大きくなる。工程表に合わせて月ごとに仕入れれば、1回の支払いが小さくなる。
| 仕入れ方 | 最初の月の支払い | 気をつけること |
|---|---|---|
| 着工前にまとめて買う | 材料費の全額 | 値上がりの心配は減るが、立て替えが大きい |
| 工程に合わせて月ごとに買う | 最初の工程の分だけ | 納期と置き場所を材料屋と決めておく |
| 元請けの支給にする | 自社の支払いなし | 元請けとの取り決めが要る |
材料を着工前にまとめて買うと、最初の入金まで大きな額を立て替えることになります。工程表を見て、最初の1〜2か月に使う分だけを先に仕入れられないかを考えます。
分けて仕入れれば、材料の支払いと出来高の入金の時期が近づきます。月ごとの支払いが出来高の入金でまかなえる形になれば、借入や買取に頼らずに済みます。
一方で、値上がりが心配な材料や、納期の長い材料は先に押さえる必要があります。どの材料を先に買い、どれを後に回すかを、材料屋と現場の担当者と一緒に決めます。
ポイント
- 工程に合わせて分けて仕入れる。
- 支払いと入金の時期が近づく。
- 値上がり・納期の長い材料は先に押さえる。
注文書を持って、日本政策金融公庫や銀行に運転資金を相談する
| 制度 | 使える人 | 融資限度額 | 返済期間(運転資金) |
|---|---|---|---|
| 一般貸付 | ほとんどの業種の中小企業 | 4,800万円 | 5年以内(特に必要な場合7年以内)、据置1年以内 |
| 経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付) | 取引条件が0.1か月以上悪くなった方など | 7,200万円 | 10年以内(据置3年以内) |
着工前の運転資金は、日本政策金融公庫の一般貸付で相談できる
公庫の一般貸付は、ほとんどの業種の中小企業が使える融資。運転資金の限度額は4,800万円で、審査がある。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 使える人 | ほとんどの業種の中小企業(業種や経営内容で使えない場合あり) |
| 融資限度額(運転資金) | 4,800万円 |
| 返済期間(運転資金) | 5年以内(特に必要な場合7年以内)、うち据置期間1年以内 |
| 担保・保証人 | 希望を聞きながら相談 |
日本政策金融公庫の一般貸付は、ほとんどの業種の中小企業が使える融資です。運転資金の融資限度額は4,800万円、返済期間は5年以内(特に必要な場合7年以内)で、うち1年以内は据置期間にできます。
着工前の材料費や人工代は、運転資金の相談にあたります。注文書の金額と工期、最初の入金日を示すと、何のために、いつまで要るお金かが伝わります。
融資には審査があり、申し込んですぐにはお金が入りません。大きな現場が決まったら、着工を待たずに相談を始めます。
ポイント
- 一般貸付の運転資金は4,800万円まで。
- 注文書の金額と入金日を示して相談する。
- 審査に日数がかかるので早めに。
元請けの支払条件が悪くなったなら、セーフティネット貸付も候補
回収条件が長くなった、支払条件が短くなったなどで、取引条件が0.1か月以上悪くなった方は、経営環境変化対応資金の対象になりうる。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 対象の例 | 回収条件が長くなる・支払条件が短くなるなどで、取引条件が0.1か月以上悪くなった方 |
| 融資限度額 | 7,200万円 |
| 返済期間(運転資金) | 10年以内(据置3年以内) |
| 当てはまるか | 公庫の判断 |
日本政策金融公庫の経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)は、取引先の事情など外からの要因で、一時的に売上や利益が落ちた事業者向けの融資です。入金までの期間が延びた、仕入れの支払いが早まったなどで、取引条件が0.1か月以上悪くなった場合も対象の例にあげられています。
新しい元請けの注文書で、前の取引より入金が遅い、材料屋への支払いが早まったなら、当てはまるかを公庫に聞いてみます。当てはまるかどうかは公庫が判断します。
取引のある銀行にも、運転資金の相談ができます。条件は銀行ごとに違い、公開されていないことが多いので、注文書と入出金の予定表を持って取引店で聞きます。
ポイント
- 取引条件が0.1か月以上悪くなった方が対象の例。
- 当てはまるかは公庫が判断する。
- 取引銀行にも予定表を持って相談する。
「注文書ファクタリング」という言葉と、請求書の買取との違い
| 項目 | 注文書の段階 | 請求書を出したあと |
|---|---|---|
| 売るもの | これから工事をして発生する代金 | すでに請求した売掛金 |
| 代金の確かさ | 工事の中止・変更・減額で変わりうる | 請求の金額が決まっている |
| 公的な定義 | ない | ファクタリングは法的には債権の売買(金融庁) |
| 扱う会社 | 会社ごとに違うので申込先で確かめる | このサイトで紹介する2社が扱う |
注文書ファクタリングは、まだ発生していない代金を対象にする取引を指す言葉
「注文書ファクタリング」は、注文書の段階で、これから発生する工事代金を対象にする取引を指して使われる言葉。公的な定義はなく、扱うか・条件は会社ごとに違う。
| 決まり | 中身 |
|---|---|
| 民法 第466条の6 | 債権の譲渡は、その時点で債権が発生していなくてもよい。発生した債権を譲受人が取得する |
| 民法 第467条 | 譲渡を取引先などに主張するには、通知か承諾が要る |
| ファクタリングの性質 | 売掛債権を期日前に手数料を取って買い取るサービスで、法的には債権の売買(金融庁) |
「注文書ファクタリング」は、検索や業者の広告で見かける言葉です。注文書の段階で、これから工事をして発生する代金を対象にする取引を指して使われますが、公的な定義はありません。
まだ発生していない債権を売ること自体は、民法第466条の6で、譲渡の時点で債権が発生していなくてもよいとされています。ただし、工事が中止・変更・減額になれば代金も変わるので、扱うか、どんな条件かは会社ごとに違います。
金融庁のファクタリングの利用に関する注意喚起は、買取の代金が債権額に比べて著しく低いものや、回収できなかったときに買い戻す約束があるものは、貸金業に当たるおそれがあるとしています。注文書の段階の取引でも、契約書で同じ点を確かめます。
ポイント
- 注文書ファクタリングに公的な定義はない。
- 将来の代金は変わりうるので条件は会社ごと。
- 買戻しの約束・著しく低い買取額に注意。
請求書を出せる段階になれば、請求書の買取が使える
最初の出来高を締めて請求書を出せば、その請求書(売掛金)を入金日より前に買い取ってもらう道が開ける。紹介する2社は請求書の買取を扱う。
| 段階 | 使いやすい手 |
|---|---|
| 注文書をもらった〜着工前 | 元請けへの前渡しの相談、材料屋への相談、公庫・銀行への相談 |
| 最初の出来高を締めた | 出来高の請求書を出し、支払日を確かめる |
| 請求書を出した〜支払日 | 支払日まで待てなければ、請求書の買取を見積もる |
このサイトで紹介する買取先(アクセルファクター・日本資金支援センター)が、注文書の段階で買い取るかどうかは、公開されている案内では確かめられませんでした。注文書の段階で使えると考えて予定を組まないほうが安全です。
一方で、最初の出来高を締めて請求書を出せば、その請求書(売掛金)を入金日より前に買い取ってもらう道が開けます。着工前は相談と仕入れの工夫でつなぎ、請求書を出したあとに買取を考えるという順番にすると、無理がありません。
注文書の段階での扱いを知りたいときは、申し込む前にそれぞれの会社に直接聞きます。
ポイント
- 紹介する2社が注文書の段階で買い取るかは確かめられていない。
- 請求書を出せば請求書の買取が使える。
- 着工前は相談と仕入れの工夫でつなぐ。
注文書の工事で、出来高の請求書を出しても入金まで待てないとき
| 順番 | 手 | 費用 |
|---|---|---|
| 1 | 材料屋・リース会社に、支払日を入金日のあとにしてもらう | なし |
| 2 | 元請けに、次の締めからの前倒しや前渡しを相談する | なし |
| 3 | 公庫・取引銀行に運転資金を相談する | 利息 |
| 4 | 出来高の請求書を入金日より前に買い取ってもらう | 手数料(見積もりで確かめる) |
請求書を出したら、まず手数料のかからない手を試す
請求書を出したあとも、仕入れ先や元請けへの相談で間に合うなら、それがいちばん安い。買取は、その手で足りないときに考える。
| 手 | 向く人 |
|---|---|
| 材料屋・リース会社への支払日の相談 | 取引の長い仕入れ先がある人 |
| 元請けへの支払いの相談 | 次の締めから前倒しや前渡しを頼める人 |
| 電子請求への切り替え | 紙より早く入金される元請けと取引している人 |
出来高の請求書を出したあとでも、支払日まで待てないことがあります。そのときも、まず手数料のかからない手から試します。材料屋やリース会社への支払日の相談は、請求書を出したあとなら、入金日が確定しているぶん話しやすくなります。
元請けによっては、紙の請求書より電子請求のほうが早く入金されることがあります。元請けごとの入金の決まりと待てないときの順番は、ゼネコンの入金が遅い・待てないときにまとめています。
締めから入金まで待てる人、元請けや仕入れ先への相談で足りる人は、買取を使う必要はありません。
ポイント
- 請求書を出したあとも、まず手数料のかからない手。
- 入金日が確定していると相談しやすい。
- 待てる人は買取を使わない。
出来高の請求書を買い取ってもらうなら、請求額と事業の形で選ぶ
30万円以下の請求書と一人親方は日本資金支援センターから見る。法人の30万円超は2社の見積もりを比べ、500万円超はアクセルファクターに出す。
| 請求書と事業の形 | 合う買取先 | 各社の案内 |
|---|---|---|
| 30万円以下の請求書 | 日本資金支援センター | 法人・個人事業主が対象、500万円まで |
| 30万円超〜500万円(一人親方・個人事業主) | 日本資金支援センターを先に、アクセルファクターも | 両社とも個人事業主も対象 |
| 30万円超〜500万円(法人) | アクセルファクターを先に、日本資金支援センターも | 見積もりの手取りで選ぶ |
| 500万円を超える請求書 | アクセルファクター | 日本資金支援センターの案内は500万円まで |
手数料のかからない手で足りないときは、元請けに出した出来高の請求書を、入金日より前に買い取ってもらう方法があります。お金を借りるのではなく、請求書(売掛金)を売る取引です。
日本資金支援センターは、サービスの案内で、法人と個人事業主を対象に500万円までの請求書を2者間で買い取るとしています。アクセルファクターは、審査に必要な書類の案内で、請求書など売掛金が分かる書類、入金が分かる預金通帳、代表者の身分証明書を原則の書類にしています。
同社のよくある質問では、2社間なら債権譲渡の通知を保留し、取引先に知られずに使えるとしています。手数料は請求書や取引の内容で変わり、銀行の融資より高くなることもあります。見積もりの手取りで材料費や人工代の支払いに間に合うかを確かめてから決めます。
出来高の請求書を出したのに入金まで待てないなら
事業の形と請求額を選ぶと、断られにくい買取先が分かります。
ポイント
- 30万円以下や一人親方は日本資金支援センターから。
- 500万円超の請求書はアクセルファクターへ。
- 見積もりの手取りで間に合うかを確かめる。
注文書の工事で、最初の入金まで待てないとき
元請けへの前渡しの相談、材料屋への相談、公庫への相談でも足りないなら、出来高の請求書を出したあとに、入金日より前に買い取ってもらう方法があります。事業の形と請求額を選んでください。
工事の約款には、工事代金を受け取る権利の譲渡を禁じる決まりがあることがあります。請求書の買取を使う前に、注文書・約款のその決まりと、その場合でも扱えるかを買取先に確かめてください。
出典・確認した情報(2026年10月確認)
- 国土交通省「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン(第8版)」
- 東日本建設業保証「前払金保証制度について」
- 東日本建設業保証「前払金保証のしくみ」
- 東日本建設業保証「前払金払出手続きの流れ」
- 東日本建設業保証「前払金保証の対象」
- 東日本建設業保証「中間前払金保証制度について」
- 株式会社錢高組「錢高組 請求書 記載マニュアル(2023年8月4日)」
- 株式会社長谷工コーポレーション「出来高請求書(2023.10改訂)」
- 奥村組「協力会社の皆様に対する支払条件の見直し(手形払および保留金の廃止)」
- 鹿島CI-NETサポートセンター「お知らせ(出来高承認締切日・請求書締日)」
- 日本政策金融公庫「一般貸付(国民生活事業)」
- 日本政策金融公庫「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」
- e-Gov法令検索「民法 第466条の6(将来債権の譲渡性)・第467条(債権の譲渡の対抗要件)」
- 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
- アクセルファクター「審査に必要な書類や取引完了までの流れ」
- アクセルファクター「ファクタリングのよくある質問」
- 日本資金支援センター「ファクタリングサービスのご案内」
締め日・支払日・支払方法は、各社が協力会社向けに公開している情報を確認した時点のものです。契約ごとに条件が違うことがあるため、注文書・契約書と各社の協力会社向けページでご確認ください。
